ナードマグネット , craft rhythm temple & The denkibran presents MISOJI CALLING 2015

MISOJI CALLING 2015 特別対談1


MISOJI CALLING 2015 特別対談1

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首謀者3人おおいに語る~MISOJI CALLING 2015にむけて~

『MISOJI CALLING 2015』とイベントタイトルはふざけているけど本人達はいたって真面目な様子。そもそも、このイベントはどういうイベントなのか? なぜ、ナードマグネット、craft rhythm temple、The denkibran のこの3バンドが集まったのか?サーキットイベントが乱立する昨今の風潮のなか、なぜ今このタイミングだったのか?なぜ『MISOJI…』とあえての”三十路推し”なのか?twitterなどでのそれぞれの発言からだけでは、なかなか読み取りにくいイベントの深いところを語ってもらうために、今回はイベント首謀者3人に対談をお願いしました。イベントの事はもちろん、大阪のバンドシーン、ライブハウス事情、それぞれの年齢の事…と、かなりパーソナルなところまで突っ込んだ内容の今回の対談記事。読みようによっては、現在のバンドシーンに真っ向からケンカを売っているともとれる内容も含んだこの対談。これを読んで4月4日(土)を迎えたら、きっと『MISOJI CALLING』を2倍楽しめる!では、どうぞ

インタビュー(2015/01/29)
※写真左より 倉坂(The denkibran)/ 古迫(craft rhythm temple)/ 須田(ナードマグネット)

MISOJI CALLING 2015、開催のきっかけとは?

― まず、今回のイベントがなぜ開催されるかの経緯について。これは絶対にいると思うので

須田(ナードマグネット) 「僕、実は最後に乗っかった人なんで…、そこは僕も知りたい(笑)」

― 実際のところ、どういう経緯があっての今回のこのイベントの開催になったのですか?

倉坂(The denkibran) 「そもそもは僕がこういうサーキットイベントをずっとやりたかったんですよ。南堀江knaveというライブハウスで働き出して、近くに他のライブハウスもある環境になったので、3~4会場を使って。そういう事を漠然と考えてた時に、craft rhythm templeがknaveに遊びに来てくれたので巻き込んだ(笑)」
古迫(craft rhythm temple) 「うん。簡単に言うとそうですよね」
倉坂 「色々と古迫君とも今回のイベントの話をする前から、よく話していた事があって『最近は若手バンドがこんなにがんばっているのに…』」
古迫 「そうそう『僕らと同世代のバンドって、もう活動が落ち着いちゃってて、外に向かって発信していないバンドが多いよね?』っていう話をしていて」

― うん。やっぱり20代後半ぐらいの年齢になっていくと、活動しているバンドの絶対数も減っていきますしね

倉坂 「で、ある程度、歳を食ってきた時に内にこもっていって、やがて第一線を退いていく…っていう感じが悲しいよね…と」
古迫 「そうそう。だから、最近は、そういうモードになっちゃってる同世代のバンドとは、あんまり絡む気がしないよね?…っていう話をよくしていたんです」
倉坂 「うん。そんなやる気のない同世代のバンドと一緒にライブをやるぐらいなら、今、がんばってる若いバンドと一緒にライブしたりする方が、自分達的にも得る物ってあるよね?って」
古迫 「そうです。そうです」

― …で、そういう話があって

倉坂 「そういう話がありつつ、でも、今の若いバンドは音楽的な意味では薄っぺらいバンドも多いよね?とか言う話もよくしていて…。まぁ、若いバンドさんにすごく失礼な言い方になっちゃうけど」

― それは若いバンドへの宣戦布告ですか(笑)?

一同 笑

倉坂 「もちろん若い子みんながそうではないし、音楽にめちゃくちゃ詳しい若い子もいっぱいてる。だけどそういう子は少数派なイメージで…。実際に聴いてる音楽のバックボーン的なところが”薄いバンド”は多いので。そんな中で、きちんと色んな音楽も聴いていて音楽的なバックボーンもありつつ、外に向けての活動もがんばっている、僕らみたいな大人のバンドもいるんだよ?というのを若いバンドやお客さんにも見せていきたいよね?って」
古迫 「そうです。そうです」
倉坂 「…っていうのをThe denkibranとcraft rhythm templeで、一緒にやろう!と一回まとまって。そしたら、古迫君が、そこにナードマグネットも呼びたい!って言い出した」
古迫 「うん。それは僕が言いました」
須田 「ありがとうございます」

― 巻き込まれたナードマグネット(笑)

古迫 「そうですね(笑)元々、そういう事をしたいな…という気持ちは僕にもずっとあったんです」

― 『そういう事』と言うのは、若い子達に向けて、きちんと発信していくということ?

古迫 「はい。そういう気持ちはずっとあったんですけど、自分達1バンドだけでがんばっても仕方ない…というのはわかってたので…」

― お、そこはさすが大人(笑)

古迫 「で、何かをやるのなら、ちゃんと同世代の自分が尊敬できるバンドと一緒にやりたいな…とは思ってて。で、僕の中で上がったのが、The denkibranとナードマグネット」

― なるほど

倉坂 「ありがとうございます!」
須田 「まぁ、僕ら一番、年下ですけどね(笑)」

― このなかでは若い(笑)

須田 「僕らまだ二十代なんで(笑)!」

一同 笑

― ちなみに、ナードマグネットから見た、The denkibranとcraft rhythm templeのイメージは?

須田 「いやぁ…でも、本当に”先輩方”は…」
倉坂/古迫 「先輩方って…(笑)」

― 先輩方…(笑)

須田 「だってcraft rhythm templeも、FANJtwiceなんかでバンバン企画イベントをやってるのを見てきるので…。うん。でも感じてる事は同じだと思います。僕らの世代を含めて、そこからちょっと上の世代のバンドが、どんどん家庭環境や仕事の事情で…」
古迫 「落ち着いてきてしまっている」
須田 「そうそう。30代半ばぐらいで力尽きていくバンドマン…っていうのがけっこう多いんで…、そんな中で、こういう現役感のある先輩方…っていう」
倉坂 「僕はどうしてもThe denkibranの人っていうよりも、ちょっとライブハウスで働いている”仕事”の方からの話にはなっちゃうんですけど、やっぱり、KANA-BOONっていう存在は真ん中にドンとあって…」

― はい。身近の若いバンドできちんと売れたバンドですしね

倉坂 「仕事としての若いバンドの応援の仕方っていうのは、KANA-BOONに裏方として関わらせてもらってた時期になんとなくわかったんだけど、同世代や大人のバンドの応援の仕方っていうのは、はたしてどういうやり方があるのかな?とは、ずっと考えてて。例えば、自分自身が大人のバンドとして、『メジャーデビューを目指していなくてもこんな活動の仕方もあるんだよ?』と、お手本になるパターンが、一番手っ取り早いかな?と」

― はい

倉坂 「そういう事をするにしても、The denkibranだけでは説得力もないので、誰かの協力っていうは欲しくて。一緒に何かできそうなのが、僕もこの2バンドしかパッと思いつかなかったんです」

― 偶然にも同じような思いを持っていて、今、集まるべくして、集まった3バンドということなんですね

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それぞれが考えるライブハウス文化とは?

さて、今回のイベントなんですが“ライブハウス文化”というのが、ひとつのキーワードになるかな?と思っているんです。今の若いリスナーが”邦ロック”と呼んでいるものと、今回のイベントで発信したいものっていうのは実は違う文化なのかな?とも思っていて。

例えば、音楽業界というものがあって、そのヒエラルキーの中では一番下…最下層にあるのがライブハウスだったりするじゃないですか?そんな”ライブハウス”という場所に10年ずっと居続ける…というのは、ある種、バンドにしても、お客さんにしても特殊な事だと思うんです。そこに居続けて、30歳を超えて、今回のようなイベントをやるような人達はどういうような事を考えてるのかな?と思いまして

倉坂 「でも、この3バンドの中だと、その”ライブハウス文化”っていう言い方をしたら、今、ガッツリそこを主軸にして活動しているのってナードマグネットだけじゃない?」
須田 「えっ(笑)!?」
倉坂 「いや、そこがもちろんナードマグネットの魅力なんですが(笑)」
須田 「僕、だいたい、ライブハウスでいつも酔っ払ってるおじさんですからね(笑)」
倉坂 「いやいや、まだ、おじさんではない(笑)」

― うん、まだ20代だし

須田 「いやぁ、仕事帰りのスーツ姿でこう…酔いつぶれてライブハウスの床で寝てるんで…(笑)」

一同 笑

倉坂 「僕の話で言うと、そもそもThe denkibranの今の立ち位置が特殊で…やっぱりライブハウスで働いている人がやっているバンドっていう前提は、何をやってもついてきちゃうと思うので。そして、ライブハウスの中の人としても僕はたぶん特殊なんで…」

― 特殊というと?

倉坂 「そもそも、ライブハウスをあんまり好きじゃないところからはじまってるんで…(笑)」

一同 笑

須田 「でも、中に入ったから、見える事もきっとありますよね?」
倉坂 「うん。でも、けっきょくライブハウスが好きというよりは、今でもライブハウスで出会う人が好きなだけなんで」

― でも、みんなそんな感じかもしれませんよね

倉坂 「僕、若い頃なんて、こういう200人キャパのライブハウスなんて”腰掛”程度に思ってたんでね。『こんな小さなライブハウスはさっさと卒業して、俺はいずれはBIG CAT、武道館、海外ツアー!だ!』って夢みたいな事を考えていました(笑)可愛くないガキでした(笑)」
須田 「逆に、僕はそういう考え方が蔓延している気がしていて、それが嫌なんですよ。最近は」
古迫 「それは今の若い子達の間で、そういう考え方が蔓延しているってこと?」
須田 「うん。いや、もちろんみんながそうとは言わないですよ?僕ね、この前のボイソニックのMCでも言ったんですけど『上に行く』っていう表現が大嫌いなんですよ!」
古迫 「そうなんや(笑)」
須田 「そもそも『上に行く』ってなんなんやろ? 地元のライブハウスは踏み台じゃねーだろ!?って!」
倉坂 「僕、年齢が一番上なのもあるんだろうけど、そういうバンドの子を見たらけっこう『かわいいな』って思っちゃう(笑)」
古迫 「尖ってるとこも含めて?」
倉坂 「うん。現実がまだあんまり見えてないところも含めて(笑)」
須田 「そりゃ、売れてるバンドもいますし、メジャーのバンドもいますけど…。でも例えば、メジャーのバンドを全部、見わたしたとして、あれが上なんか!?と!」

― 笑

倉坂 「ほー」
須田 「そりゃ数字的なところを見たら、明確な上下はありますよ。でも、めちゃくちゃかっこいいのにずっとアンダーグラウンドにいるバンドもいますし…!」
倉坂 「僕も若い頃はさっき言ってたみたいな、須田君の言う『上を目指してたムカつくバンドマン』だったかもだけど(笑)、最近は歳のせいもあってか、一周まわってきて須田君と近い考えにはなってるかも」

― 歳を取って経験を積んで、変わってきたって事ですかね?

倉坂 「やっぱり、どうしても引き合いにはでちゃうんだけどKANA-BOONっていうバンドが身近にいて、今じゃ演奏も上手くもなりましたし、今度、武道館でやる…ていうすごいところまで行ってるわけじゃないですか?」

― はい

須田 「そう、やっぱりKANA-BOONぐらい身近なバンドがあそこまで行ったから、逆に『だからそれは”上”じゃないやろ?』って思える。僕らが目指しているとこは、上じゃなくて、地続きの世界」
古迫 「うん」
須田 「確かにすごく遠い遠いところまで行ってはしまったけど、それは地続きであって…」
倉坂 「うん。それはすごく思う」
須田 「うん。だから…『上に行く』とか言ってるバンドには…」

― はい

須田 「…腹立つ」

一同 笑

倉坂 「僕の場合は、上も地続きの遠いところも実はもう目指していなくて」

― はい

倉坂 「例えば、KANA-BOONが久しぶりにThe denkibranのライブを、例えばこれぐらいの小さいキャパのライブハウスで見た時に『やっぱり、まだThe denkibranには敵わないっす』って言われたいだけかもしれない(笑)」

― 倉坂さんらしい(笑)

倉坂 「僕らはもうこの先、『武道館みたいな広い所でライブが出来る事は絶対にない』という諦めはあるんだけど、ただこの場所に来た時に『ここでなら、まだ、おまえらには負けてないよ?』っていうのをちゃんと見せてあげたいし、こういう小さいライブハウスにいるバンドならではのかっこよさ…というのも絶対にある…っていうのを、他のバンドやお客さんにも見せてあげたいっていう気持ちはあります」
古迫 「ちょっと話が変わっちゃうかもなんですけど、上の世代…倉坂さんよりもっと上の世代の人達からよく聞く話で…」
倉坂 「どんな話?」
古迫 「昔のライブハウスって、毎日、当たり前のようにお客さんが入ってて、誰が出ていようがお客さんがたくさんいた…っていう時代があったっていう話を…」

― 聞いたりはしますよね

古迫 「もう僕の中では、それって都市伝説でしかないんですよ。だから、1回そういうのを見てみたいな…っていう気持ちはあります。今、本当にそういう事ってできるのかな?って」

― それは特にその日の出演バンドの事を知らなくても、ライブハウスにフラッとたくさんのお客さんが遊びにくる…っていう事?

古迫 「はい。夢物語みたいな話なんですけど、そういう風になってるのを見てみたいな…実際にそんな事ができるのかな?って。まぁ、色んな人が試行錯誤してるけど、現状は実際、上手くいってないわけじゃないですか?」

― そもそも、ライブハウスの数が多過ぎるっていう問題もありますけどね

古迫 「うん。その光景を死ぬまでに見てみたいな…って(笑)」
須田 「死ぬまでに(笑)?」

― 死ぬまでに…って、なんだかすごく大きな話になってきた(笑)

古迫 「ライブハウスに関しては、そんな風に思いますね。ちゃんと遊び場になってない気がします」

一同 あーー

須田 「それはありますね」

― 今の子は遊ぶ場所も方法も色々ありますからね…

倉坂 「まぁねぇ…」
須田 「僕は最近は完全にライブハウスが遊び場なんで(笑)」

― 呑み場(笑)?

須田 「そうそう。最近、僕はライブハウスが本当に楽しいので(笑)」
古迫 「でも、そういうのが少数意見になってしまってるじゃないですか?」

― たしかに

須田 「そういう文化は、しっかりちゃんと守っていきたい」

― ライブハウスが遊び場になってはいても、音楽を聞きにこないで、人に会いにきているだけの人もいますしね

須田 「その辺りはどっちもあっていいと思うんですけどね?」

― いや、でもまったくバンドを見ないで外で話だけしてるような人もいるし

須田 「それは…何しに来てるねん?とはなりますね(笑)」
倉坂 「やっぱり、ミナミホイールとか見放題っていう、サーキット、フェスの時はライブハウスにお客さんがたくさんいて、みんな楽しんでいる…っていう現状はあるわけで」

― はい

倉坂 「あれって、やっぱり楽しいから、たくさんお客さんが来るわけで、ああいう感じの楽しみを普段から発信できていれば、ライブハウスにお客さんがたくさん来てくれるんだろうな…とは思うんですが」

― はい。一昨日(2015/1/27)のknaveで行われた入場無料イベントも、実際にお客さんたくさん来ましたしね。『入場無料』というの要素は大きかったとは思うんですが、『なんだかこの日は楽しそう!』っていうワクワクをお客さんに提供できたから、たくさんお客さんが来てくれた…というのはあると思います

倉坂 「うん。平日のライブハウスのブッキングイベントは”お客さんがいなくて当たり前”っていうの淋しい…というのはありますよね」

― やっぱり三人集まると”ライブハウス文化”と一口に言っても、捕らえ方が違いますね

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大阪のバンドシーンについて

― では、次の質問ですけど、『大阪のバンドシーン』については、それぞれどう思っていますか?ざっくりと『関西』という括りでもいいんですけど、実際のところ、京都、神戸、大阪…と、それぞれけっこう違うとは思うので

須田 「うん」
古迫 「違いますよね」
倉坂 「では、僕からいきますか?」

― はい。ライブハウスの人としてでも、The denkibranの人としてでも、どっちの立場からでも大丈夫です(笑)

倉坂 「あの…すごく注目されていると思います」

― 全国的に?

倉坂 「はい、全国的に。大阪…関西のバンドは、例えば『GOOD ROCKS! SPECIAL EDITION NEW ROCK SCENE IN KANSAI』なんて本が出るぐらい良いバンドがいる…と思ってもらえてる。あの本、実際すごいと思うんです。CD屋さんでまだCDを買えないようなバンドもたくさん載ってたわけじゃないですか、流通を通してないような、僕らからしたら普段からよく会う身近なバンドも。でも、身近なバンドがたくさん載り過ぎていて、この本って誰が買うんだろう?とか失礼ながら思っちゃった(笑)」

― まぁ、僕らからしたら、KANA-BOONやキュウソも、まだ、どこか身近な感覚ってあるんで、お客さんとの、そこの感覚のずれはたぶんありますよね

倉坂 「で、そこの注目から外れちゃってるバンドのかっこよさっていうのを一番知ってるのが、我々であって。で、僕らはあの本に載らないような立ち位置でバンドをやっていて…(笑)」

― ナードマグネットあたりは、あの本に載っていても良さそうなもんなのにね?

須田 「笑」
倉坂 「うん。そこに対しての反骨精神的な気持ちは僕もやっぱりあるので」

― なるほど

倉坂 「でも、僕は…ちょっと調子に乗った言い方をすると、その注目されている若手バンドの中心に、裏方としては3年前ぐらいに確実にいて、関わってたので」

― はい。それは確かに

倉坂 「じゃ、そういう人間があの時とは違う、別のベクトルから、埋もれちゃってる他の若いバンドだったり、30代の大人バンドだったりのかっこよさを紹介していけたらいいのにな…とは思ってます。そもそも、KANA-BOONも最初は誰からも相手にされてなくて…そういうつもりで、ずっと手伝ってきてたから…」

― はい、元々は誰も注目してくれず…

倉坂 「うん」

― ワンマンの時も誰も関係者も来ず…

倉坂 「うん。あの時は事前に、関係者にメールをたくさん送ったけど誰も来てくれませんでした(笑)でも、そういうなかで、あそこまでバンドが行けた…っていう事は『じゃ他のバンドでも音楽さえ良ければ、同じような事ができるんじゃないか?』という希望にはなってるんで」

― はい

倉坂 「まぁ、もちろん…『The denkibranって、けっこうかっこいいんやで?』というのを、わからせたい…という気持ちもありつつですが(笑)」

― そこは、もちろん(笑)!

倉坂 「もちろん、ナードマグネットだったり、craft rhythm temple のかっこよさをわからせたい!っていう気持ちはありますし」

― では、須田君的に大阪のシーンっていうのをどう見てるの?今のナードマグネットっていうのは大阪のシーンの『ど真ん中』にいてる印象もあるのですが?

須田 「いや、『ど真ん中』にはいてないでしょ(笑)!」
古迫 「『ど真ん中」でしょ?」

― 今、けっこう『真ん中』にいてる気もしますが?

須田 「うーん、どこを『真ん中』と捉えるか?っていうのが…、また、ちょっと嫌われてしまう発言をすると…」

― はい

須田 「どうしても、大阪のシーン的なものは、まだ『ギミック先行』、『話題先行』 な物に寄りすぎている感じがするんです」
古迫 「うん、うん」

― めっちゃ思う

須田 「で、すごく居心地が悪いな…と思う瞬間は多々あります」
倉坂 「『真ん中』っていう話で言うと、『そこ、別に真ん中じゃないよ?』っていうのをわからせてやりたいっていうのはある!…話に割って入ってごめん」
須田 「うん。そうそう!!そうですね!!」
倉坂 「いわゆるメーカーさんが目をつけるバンドって…まぁ、僕は仕事柄、そういうバンドにも関わってるし、その中で大好きなバンドももちろんいっぱいいるんですが…」

― はい

倉坂 「そこは、年齢、ルックス、将来性などなど…色々な要素もふまえて、いわゆる『今後、売れそうなバンド』を探すのが、例えばレコード会社の新人発掘の方なんかはお仕事なんで、そこはすごくわかるんです。そういう人達に対しての違和感はさすがにこの仕事も長くなってきたので、なくなってはきたんですが」

― はい

倉坂 「そういういわゆる関係者にじゃなくて、お客さんに向けて…という意味では『面白いのは、そこだけじゃないよ!』というのを、何かしらカウンターカルチャー的に発信していけたら楽しいだろうな…とは思います」
須田 「そういう流れに上手くのれない良いバンドに、もっと光が当たればいいな…っていうのはずっと思ってるんです」
倉坂 「うん、うん」
須田 「僕は今でも『もっと売れたい』と思いながらバンド活動をしているんですけど、それはもう『音楽で飯を食うんじゃい!」みたいな、そんなのじゃなくて」
古迫 「うん」
須田 「飯は食えてますから(笑)」

一同 笑

suda須田 「仕事で…この格好で飯は食えてるので(笑)」

― ちゃんとしたサラリーマンやもんね(笑)

須田 「仕事はちゃんとやりつつ、もっともっと、さらにもっともっとバンドをやりたいと思うのは、自分達が発信する時の力をつけたい…と思うからなんですよ」

― アジカンのゴッチ的な?

須田 「そうそうそうそう!!あれは本当に理想というか…、僕はさっき言ったみたいな、話題先行、ギミック重視みたいなヤツらが嫌いなんで、そんな物を押しのけるぐらい、僕の好きな物で周りを固めたいんですよ!」

― はい

須田 「自分の好きなライブハウスが、自分の好きな物で溢れている…っていう、それで、みんなが喜んでくれている光景が見たい!」

―うん

須田 「うん。例えばライブハウスでライブを見ていて『今、この人達、世界一かっこいいライブをしているぞ!?』って思った瞬間に、後ろをパッと見渡したら、お客さんが5人とか…」

― ある、ある

須田 「あるんですよ!そういう時に『なんでやねん!?』って思う」
倉坂 「それ、僕が表方として諦めて、ライブハウスの裏方でやろうとしてる事と一緒かもしれない(笑)『俺は「倉坂帝国」を作りたい』って、けっこう冗談ぽくよく言うんですけど」
須田 「あー!そうそう!!」

― でも今、着実に、本当にちょっとずつだけど、ピースは揃いだしている印象ですよね?

倉坂 「どうでしょうね?表に出る話ではないので、わかる人にしかわからない話だけど『ほら、みんなが相手にしていなかった、あのKANA-BOONがいったでしょ?他のバンドも良い感じでしょ?じゃ、次は、みるきーうぇいにARKSに…』っていう」

― はい

倉坂 「…『ざまーみろ!?』って言いたいのかな…。若い子にはネガティブな事を言うなとか偉そうに言ってるけど(笑)、僕らや僕の好きな物を認めてくれなかった人達に対して、結果を出して『ざまーみろ!』って」

― 古迫氏的にはその辺りどう?

古迫 「あのーですね、『売れるために活動しているバンド』と『良い音楽を作るために活動しているバンド』に綺麗に分かれてしまってる印象なんですね」

一同 あーー

倉坂 「確かに」
古迫 「僕らは…どっちも欲しいんですけど(笑)」
須田 「そうそうそう!!」
倉坂 「うん。僕らの言う『大人のバンド』のかっこいいの基準って、そこのバランスの良いバンドって事やんね?」

― それはわかる。本当に『音楽が好き』なのか、『バンド活動が好き』なのか、どっちなんだろう?って思うバンドもいますしね。お客さんにしても『そういう人と話すのが好き』なのか『音楽が好き』なのか…っていうのも違って思えるし

古迫 「『バンドマン』と『ミュージシャン』でも、違うと思うんですよね」
倉坂 「うんうん」
須田 「違う、違う」
古迫 「売れるためにやってるヤツらって『バンドマン』が多い気がするんです」
倉坂 「うん、多い気がする」
古迫 「ミュージシャンが少ないんですよ」
須田 「それ、京都nanoのモグラさんも同じ事を言ってた(笑)」
古迫 「なんか嬉しいな…(笑)だから、正直、ミュージシャンがもっと売れて欲しいな…と僕は思います」
須田 「本当にそうですよね」

― ただ、若手で本当の意味で『ミュージシャン』って呼べるようなバンドっている?

須田 「いや、若い子に関しては仕方ないんじゃないですか?知らないんだから…最初は初期衝動だけでバーンとやっていけばいいわけで。それを…周りの大人達が導き方を間違ってるんですよ!」
倉坂 「うん。それはすごく思う」

― これ、最終的に業界批判になってませんか(笑)?

倉坂 「なってません(笑)!そんなつもりはありません」
古迫 「そういう意味では、ナードマグネットとThe denkibranはきちんと外に向かってやろうとしているミュージシャンと思うので、僕にとってはすごく貴重な存在なんですよ」
倉坂 「若い子に何かを教えて上げれる人が周りにいてない…例えば、ナードマグネットを好きって子がいたら、じゃとりあえずweezerも聴いてみろよ?って」

― 好きな音楽から好きな音楽をさかのぼるだけでもね

倉坂 「うん。これ好きだったらこれも聴いてみたら?とか、もっと突っ込んだ話になれば、おまえの出したい音を考えたら、ピッキングもこうじゃない?とかいう、楽器や演奏の話だったりを…ってこういう話になると、僕、ライブハウスの人モードになっちゃうけど(笑)」
古迫 「そういう事を、若い子に言える人は少なくなってきましたよね」
須田 「本当にいない」
倉坂 「そういう意味では、僕は一回、メジャーデビューしときたかったもん」

― 確かに、一回メジャーデビューを経験していれば、周りからの見え方も違うだろうし、言える事も違うし…

倉坂 「いや、本当に周りの見え方はどうでも良いんだけど、僕はいわゆる『プロの現場』や『プロフェッショナルの仕事』を知らないから、若い子に対して自分のキャパの中でしかアドバイスができないんですよ」

― なるほど

倉坂 「色々と知っていたら、もっと的確なアドバイスも出来ただろうに…。だから、The denkibran、今からメジャーデビューを目指します(笑)!」

一同 笑

須田 「定期的に、鮪とskypeでもしたらいいんじゃないですか(笑)?」
倉坂 「あ、でも人伝の話でもプロの現場の話はすごく勉強にはなる。某バンドが、この前、東京のスタジオで一線バリバリのドラムテックの方についてもらって、こういう駄目出しをされて…っていう話をバンドの子から間接的に聞いただけなのに、それもすごく勉強になった。」

一同 へー

倉坂 「バンドの子に伝えたい事は、そのテックの方も僕も同じような内容の事なんだけど『プロの人はそういう伝え方をするのか!?たしかに、そのほうが伝わりやすくて分かりやすい!』とか…。そういうプロフェッショナルな事をもっと知っていたら、ライブハウスの人という強みとあわせて、もっとアドバイスする時なんかに活かせるのになぁ…って」

― なるほど

倉坂 「で、ライブハウスの人、ライブをする人としての目線だと…ここは太文字で書いといてください(笑)、『人間性の見えないバンドは嫌いです』」

一同 うん、うん

― それは間違いない

倉坂 「ライブを見ていてね、(須田君を指差して)めっちゃ出てるやん(笑)?僕もどういう人間かは音に出てると思うし、もちろん古迫君もすごく出てると思うし」

― うんうん

倉坂 「なんかね、歌詞が、MCが…とか、そんな小さい話じゃなくて、リズムの取り方ひとつでも性格が出る…あの感じがすごく好きで。先日のナードマグネットのライブだったら、須田君がグワーっと熱くなってく感じに寄せていくメンバーの熱量というか…リズムもどんどん走っていくし(笑)あれだけでも人間性がわかる…(笑)」
須田 「笑」

― うん、例えば、モーモールルギャバンのゲイリーなんて、ハイハットの叩き方を見ただけで、あいつのドラムってわかりますもんね(笑)

倉坂 「その人の人間性や考え方なんかが音に出てるようなバンドが好きですね。若い子でももちろんそういうのがあふれ出ているバンドもいますけど…。はじめたての頃ってなかなか難しいけど、そういうところまで、みんな行ってくれたら、おじさんとしては嬉しいですね」

― なんだか「若い子にきちんと成長してもらいたい」っていうメッセージが、やたら多いのを考えると、三十路感ありますね(笑)

一同 笑

倉坂 「いや、これは三十路感じゃなくて、僕の36感…(笑)」

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30歳という年齢。かっこいい大人のバンド

― では、この話の流れで『30歳』ってものを、それぞれどうとらえていますか?今回のイベントのタイトルに関連して思った事なんですが、『もうすぐ迎える人』『今、まさに迎えた人』『ちょっと前に迎えた人』…って、それぞれどういう風に考えているのかな?と

須田 「あの、今回のイベントタイトル『MISOJI CALLING』っていう、タイトル案を出したのが僕なんですけど…」

― 三十路に呼ばれている側(笑)?

須田 「うん。三十路に呼ばれている側…。うちの前川さんが、今年メモリアルイヤーなんですけど(笑)」

― ついに30(笑)!

須田 「あの、ナードマグネットにmixtapeという曲がありまして、そのPVを撮影した時に、トモ子にTHE CLASHのLONDON CALLINGのパロディをさせたんです。最終的にそこに被せた文字が、トモ子の実家が和歌山なのでKISHU CALLINGになったんですど、あれを、僕、MISOJI CALLINGにするかKISHU CALLINGにするかずっと迷ってて…、三十路の足音が聞こえてる今だからこそ、そういう感じにしようか…って、まぁ、そこからとったんですけど」

― なるほど

須田 「やっぱり、ロックキッズって27歳がひとつの…」
古迫 「うんうん」
倉坂 「あるよね、27歳で死なないといけない(笑)」
須田 「そういうレジェンドというか、ドリームというか…そこを超えて、僕は28歳になってしまって…うん、ずっと続けていく事の方が大事かな?とは思うようにはなりましたね」

― 30歳の古迫君は?

古迫 「うーん…なんでしょうね…、確かに20代の頃とは考え方も変わっていってるかもしれないんですけど…僕はね、正直、今の方が楽しいんですよ。音楽をやっていて…これはなんでなんやろうな…?」

― はい

古迫 「たぶん、さっき須田君が言ったように僕も『音楽を続けて行こう』というスタンスに…それは30歳になる前…28~9歳の頃、30歳が見えてきた頃に、そういう考え方に変わっていてったので」
須田 「やっぱり一緒なんですね(笑)」

― つまり『売れたい』よりは、『きちんと音楽を続けたい』というスタンスに変わってきた?

古迫 「そうですね。じゃ、そうやって続けていくためにはどうしたらいいかな?…って、やり方がまったく変わってくるじゃないですか?だから、そのための準備をある程度しようと28歳ぐらいから考えて、30歳を迎えたので、わりと良い気持ちで30歳を迎えられた…というか」

― なるほど、ちゃんと自分の中で気持ちを整理をしたうえで?

古迫 「そうです、そうです。とりあえず、30歳までにやる事はやった…と。じゃ、これからどんだけ音楽を続けれるか、がんばってみよう…っていう…」

― 次の目標が見つかって、新しいスタートみたいな感じですね?

古迫 「そうですね。…っていう流れに綺麗にいけたので、僕は今すごく音楽をやっていて楽しい…というか」

― ハイ

古迫 「生きてて楽しいというか(笑)」

一同 笑

― 須田君は生きてて楽しそうよね?

須田 「そうですね…楽しい…(笑)うん。僕も今は準備期間だと思ってます。続けていくにもある程度の地盤がないとね…何にもできないと思ってるので」
古迫 「うん、うん もっとさかのぼればバンドをはじめた頃…craft rhythm templeをはじめたのって23歳なんですよ…その頃は30歳の頃にはミュージックステーションに出てると思ってましたからね(笑)それこそ、今のKANA-BOONみたいなね?」
倉坂 「そりゃね、若い頃はけっこうみんなそう思ってたりする(笑)」

― なるほど。では、倉坂さん…三十路はどう思います?

倉坂 「うん…30歳を過ぎてから、めっちゃ楽しい(笑)!!」

― 倉坂さんて30歳の頃って何をしてたんですか?

倉坂 「ライブハウスで働いてた…のかな(笑)?時系列で言うとKANA-BOON登場前夜…ぐらいの時期かな?周りに仲の良い若いバンドがぽつぽつと出来はじめた時期ぐらいかな…あんまり覚えてない(笑)でも、あの時期に若い子達といっぱい知り合えて、仲良くなれて、気持ち的に自分が若返れたから、今、バンドを続けてられているっていうのはあるので…」

― はい

倉坂 「The denkibranっていうバンドは、僕が24~5歳の頃に一回ピークが来てたバンドだと思うんですよ。まぁ、たいしたピークじゃないんですけど(笑)」

― 中百舌鳥club massiveによく出てた頃ですよね?

倉坂 「うん。でもそれが一回、活動的には落ち込んで、よもや30歳を過ぎてから、またピークが来ようとは…(笑)今の方がライブの本数は少ないけど、たぶん、現役感はあるもん(笑)」

― 確かに

倉坂 「そして、27歳シンドロームは僕にもあったんでね…」

― そこは、みんな通るところ(笑)

倉坂 「ただ、僕は一回28歳ぐらいの頃に、30歳までメジャーデビューしてやる!とか思ってた時期もあったんですよ(笑)でもその頃に、結果的に地元のライブハウスに居ついちゃって、若い子達と仲良くなって応援してあげたいバンドがたくさん出てきて…って、なんとなく色々とあるうちにウヤムヤになって…」

― はい

倉坂 「結果、ダラダラとやってますね(笑)」

一同 笑

倉坂 「バンドに関しては、27歳をすぎてからが、めっちゃ楽しいロスタイムって感じ(笑)」

― 笑

倉坂 「ロスタイムなんで、いつ終わるかヒヤヒヤはしてますけど(笑)」

― 長いロスタイムですね(笑)

倉坂 「で、ちょっと重い話をするとThe denkibranで最初にBASSを弾いてた僕の友達が死んだのが28歳の時で…。うん。そいつ自体は、バンドはすぐに辞めちゃったんだけど、辞めた後も仲は良くて『俺はお前達がバンドで売れる頃には、BARのマスターになってるから、ミュージックステーションに出てるThe denkibranを見ながら、俺は元The denkibranやで?って、そのBARで言うから!』みたいな、若い子にありがちな、くだらない話をよくしていたりで…」

― はい

倉坂 「売れるとか売れないとか、そういうところは置いておいて、The denkibranっていう名前ぐらいはできるだけ残しておいてあげたいな…みたいな気持ちはありますね。だからライフワークとしてバンドは続けたいですね…」

倉坂 「うん。まぁ、まとめますと、けっきょくは、めっちゃ楽しいロスタイム…!」

― 30歳過ぎてから楽しそうですもんね?ここ4~5年の充実感…(笑)

倉坂 「うん。充実してるねぇ…楽しい!30歳すぎてから、こんなに楽しいとは思わなかった(笑)」

一同 笑

倉坂 「僕からちょっと二人に質問なんだけど、二人は『歌いたい事』とか『やりたい事』って最初からあった?僕は、そういうのが見つかったのがたぶん28~9歳ぐらいやねん。今、思うと、その年齢になるまで、全然向き合えてなかったんだな…て」

― ああ、それは歌いたい事に対して?どういう事を伝えたいか?っていう部分で?

倉坂 「えっとですね…、須田君のさっきの話でいうと『上に行きたい』って言ってるような若いバンドなんかは、若い頃からそういう事にストイックに向き合ってメンバーでケンカして、解散して…みたいな感じじゃないですか?そう考えると、自分はそういう事も考えずにダラダラとバンドをやってきて、28~9歳の頃に『これを歌いたい』っていう事ができた時に、メンバーが抜けちゃったり、変わったり…っていうのがあったので、その歳になるまで僕は実はバンドというものに向き合えてなかったのかな?っていうのには気づいた。でも、…だから向き合えたからこそ、今が楽しいのかな?」
須田 「そうですね、僕もやりたい事が明確に見つかったのは、ここ2~3年…」
倉坂 「そうやんね?昔のナードマグネットって、今と印象が全然違うもんね?」

― うん、全然違う

倉坂 「前はもっと洋楽志向な音というか…」
須田 「うん、前はもっとわけわからん…(笑)洋楽志向ですし…オルタナでしたし…ゴッタ煮感というか…」
倉坂 「昔の印象って”音で黙らせたいバンド”っていうか、『音楽だけ聴いて評価してくれよ?』みたいな…」
須田 「そうそう。で、僕は元々パワーポップがすごく好きだったので、思いきって、そっちに振り切ってみたら、意外とサクっとはまったので…あ、こっちだな…って」

― うんうん

古迫 「僕もここ最近というか、28~9歳とか最近ですね。特に歌いたい事なんて…」
倉坂 「そもそもこの3バンドは、その手の『聴いてくれる人へ向けてのメッセージ性』っていうのはないところから、絶対にはじまってるからね(笑)」
須田 「なかったですね」
古迫 「はじめは、バンアパのコピーバンドからはじまってますからね(笑)」
倉坂 「それを言えば、うちだって最初は奥田民生さんのコピーバンド(笑)」

― じゃ、ナードマグネットは、weezerのコピーバンド(笑)?

須田 「いや、元々うちは最初はパワーポップ感は0だったんで、今がweezerのコピーバンドです!僕らは(笑)」

一同 笑

倉坂 「あ、最近になってやっと『これがやりたかった事だ!』みたいな?」
須田 「そう、今、やっと出来てる(笑)」
倉坂 「でもコピーではないよね、weezerの影響をちゃんと日本人的なフィルターでね?」
須田 「うん、それをちゃんと日本語でやりたい!」
倉坂 「ナードマグネットを今好きな人って、例えば須田君の”青春感”が好きだったりするわけで、意外にそのパワーポップ感っていうのは好きな要素とは関係なかったりするよね?」

須田 「そうなんですよね。元ネタありき…で曲は作ってはいますけど、最終的なアウトプットは元ネタを知らない人にも聴かせたいんで。冒頭の話に戻りますけど、こう『音楽的なバックボーンは薄いけど、のし上がりたいバンド」と、『バックボーンを愛しすぎるあまり、そういうところに背を向けているバンド』と…どっちにもあんまりノれない…というか」
倉坂 「これ、同じ話をこの前、扇町パラダイスのシムさんとした(笑)」

一同 笑

須田 「なんか、背を向けてしまってる人を見ても、なんだかなぁ…、かっこいいけどさぁ…みたいな。だから僕らはマニアには嫌われるかな?と思ってたんです。今、こういう事をやっていたら。もう『俺達の聖域をそんなミーハーな感じで汚すんじゃねーよ!勝手に、パワーポップ代表とか言いやがって!!』みたいに言われるかな?とか思ってたんですけど(笑)意外とTHISTIME RECORDSとかが…(笑)』

― THISTIME RECORDSのナードマグネットの応援の仕方ってハンパないもんね(笑)

倉坂 「ああいうのって嬉しいよね」
須田 「THISTIME RECORDSって、パワーポップにとっては最後の牙城というか…(笑)」

― うん。あそこが崩れてしまったら、何かが終わってしまう(笑)

須田 「THISTIME RECORDSがあれだけ支持してくれた…っていうのは、ちょっと自信にはなったかな。
倉坂 「でも、きちんとマニアックでもありつつ、大衆性もある…っていうバランスの良いバンドってやっぱり少ないから、THISTIME RECORDSからナードマグネットが応援されている理由もわかるし。そもそも、この3バンドってそれぞれの持ち味はありつつも、そういう意味でのバランス感覚がきちんと良いバンドだと思うから、この3バンドでイベントをやるっていう事には意味ってあるんじゃないかな?って」

― はい

倉坂 「対談的にまとめに入ると…こういう、バランスでやってるバンドもいるんだよ?っていうのを若いお客さんだったり、バンドマンだったりにわかってもらいたい、知ってもらいたい…っていうのが今回のイベントの動機ではありますよね」
須田 「僕は今回のMISOJI CALLINGでは、単純に好きなバンドを集めているので…」

― みんな、そうですけどね

須田 「たぶん僕らの呼んでいるバンドってね、いわゆる『邦ロック』的なシーンの価値観とはちょっと違う人達だと思うんですよ」

― はい

須田 「今のライブハウス界隈の邦ロック大好きな子達はきっと知らないバンドばかりなので、そういう子達に僕の好きなバンドを見せたい!」

― うん、うん

須田 「僕の今の活動スタンスってね、大学時代の軽音部で酒飲みながら、『おまえ、これ聴けよ!』『このCD、貸すから、おすすめ貸してや!』みたいな、『これ、めっちゃかっこいいねん!』っていう、それなんですよ」

― はいはい

須田 「その感じの延長なんです。それをやりたい!」
古迫 「うん。なんか、歳を重ねるにつれて昔の感じに戻ってきますよね」

― うん、ピュアな感じが…

倉坂 「うん、戻ってますね」

― 30歳ってもしかしたら、その分岐点なのかな?

古迫 「…かもしれないですね」

― 精神的な余裕も出てくる年齢だし、逆に戻りやすくなるのかな?

倉坂 「若い頃ってね、逆に『早く大人にならなくちゃ』、『こういう感じにやらなくちゃ』とか、思ったりしてたんだけど、それって実は周りの情報とか、周りから色々言われるから、変に考え込んじゃってただけで、実際に大人になってきて、バンドを長く続けてくると『あ、意外にそういう事って、どうでも良かったんだ』みたいに気づいたりはする(笑)」

― はい

倉坂 「そもそも、なんでバンドはじめたんだっけ?ってとこに戻る時期かもしれませんね。僕らの年齢って」

― はい

倉坂 「『俺、もともと何をかっこいいと思ってたんだけ?』『何に憧れてバンドをはじめたんだっけ?』っていう基本的なところに帰ってくるというか…。僕らみたいに長くやってるバンドって、もう、そういう自分の本当に好きな事を犠牲にしてまで、バンドをやる意味ってないからね。現状、僕らは音楽でお金を稼いでないので(笑)」

― たしかに

倉坂 「ねぇ?例えばナードマグネットがメジャーデビューしていて『ナードの次のCDが売れなければ、80人のスタッフが路頭に迷う…』とかだったら、何を置いてもがんばらなきゃいけないけど(笑)」

一同 笑

倉坂 「好きでやってたはずの事を、好きにできなくなったら…ねぇ、お金や時間や…色んな物を犠牲にしてバンドやってる意味が本当になくなっちゃうんで。そういう、ある種、開き直ったバンドのカッコ良さっていうのをわからせてやりたいですよね?」
古迫 「そうですね」

― じゃ、そういうイベントって事で

倉坂 「まぁ、この3バンドが揃えばなんか楽しそうでしょ?っていうイベント(笑)」

― 簡単に言えば(笑)

倉坂 「ライブハウスでやる僕らのこういう企みに反応してくれる人をまずは増やしたい。仲間にしたい。…でも、これすごく説教くさい対談になりましたね…(笑)」

― 30歳過ぎるとみんな説教臭くなるんですよ、きっと(笑)

倉坂 「僕らみたいなのを、お手本にしてもらっても良いし、反面教師にしてもらっても良いし…(笑)ひとつのこういうサンプルもあるよ…っていう感じですかね。最初の方に話した、須田君が言う『上に行きたい」って言ってる若いバンドもね、たぶん『メジャーデビューする』『インディーで何万枚CDを売る』っていうところを目指していく活動しか知らないから、そこを目標にせざるを得ないっていう気はするんです。で、例えば、がんばったけど結果が出なくて、30歳を過ぎた時に、急に趣味に切り替えて『オヤジバンドコンテスト』に出て…みたいになるぐらいならバンド辞める!みたいになるのはちょっと悲しい」

― はい

倉坂 「第三の選択肢として、大人になっても僕らみたいなバンドの続け方もあるんだよ?っていうのを提示できるようなバンドになりたい…いや、すでになってる?3バンドがやるイベントですよ!…と」
須田 「まぁ、僕らはまだ発展途上ですけどね(笑)」
倉坂 「いや、それを言えばうちだって(笑)あいつtwitterで偉そうな事ばっか書いてるくせに、自分のバンドは人気ないよね?とか言われてるから、もうちょっと人気は出たい!(笑)」
須田 「僕らはMステ、あきらめてないっすからね(笑)!」
倉坂 「うん。でもナードマグネットみたいなバンドが、売れていけばかっこいいよね」
須田 「僕はフジロックのグリーンステージでMixtapeを歌いたいです」
古迫 「じゃ、僕はサマーソニックですかね。そもそも、サマソニ見に行ってバンドはじめたんで」
倉坂 「僕は大きいステージは別にいいけど、KANA-BOONと対バンしたい(笑)」

古迫 「まぁ、この日は色んな事を経験した大人が、あの頃の気持ちを取り戻す1日ですね」

taidanlast

― 上手くまとまったのかな(笑)?とりあえず、3バンドともやる気だけはあるぞ!という事ですね。イベント当日を楽しみにしています!

熱量のある言葉で熱く語ってくれた ナードマグネット 須田、誤解を与えないように丁寧に言葉を選びながら語ってくれた craft rhythm temple 古迫、ライブハウスのスタッフ/現役バンドマンという二つの目線から語ってくれた The denkibran 倉坂、語り口は三者三様ながらも、根底にある気持ちは一緒という事を再確認できた対談になりました。次回は各出演バンドへの熱い気持ちをそれぞれに語ってもらえたらと思います。次回もお楽しみに。

2月5日(木)より南堀江knaveにて先行販売開始!!

開催日 :2015年4月4日(土)
開催地 :南堀江knave / SOCORE FACTORY / 北堀江club vijon
時間 :開場開演12:00/12:30
前売 :3,000円(ドリンク代600円別途必要)

【一般発売:近日中予定】
各種プレイガイド
出演バンド手売

主催/企画/制作
ナードマグネット / craft rhythm temple / The denkibran

協賛
■西尾王将会

招聘
■MISOJI CALLING実行委員会

問い合わせ/窓口
■倉坂直樹(The denkibran / 南堀江knave)
info@thedenkibran.com



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